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Vol.122「オシムさんと厚木」1年 厚木大地



みなさんはじめましてE類多文化共生教育コース1年の厚木大地です。TTKSCで年長からサッカーをはじめ、ジュニアユースは石神井マメックス、高校は都立国分寺高校を経て東京学芸大に来ました。上記のいずれのチームでも「スタメン」として活躍したことはない自分ですが、かれこれもう14年サッカーをしています。やらせてくれている両親には感謝ですね。


自己紹介はここまでにして本題に入りますと、私のサッカーに対する考えかたの根底のひとつに元サッカー日本代表監督のオシムさんの考え方があります。


先程述べたように私はずっとスタメンにはなれなかったので、主戦場はBチームでした。そして今もBチームでプレーしています。つまり、ずっと弱いチームにいます。


では、弱いチームが勝つために必要なものは何か。多くの人は「考えること」と「球際、切り替え、運動量」をあげます。ここで注目するのは、「球際、切り替え、運動量」です。やはりサッカーの根底をなすものですから、とても大事ですし、僕も大好きな要素です。


しかし、つい先日気づいたのですが「球際、切り替え、運動量」は結果であって手段ではないということです。


例えば球際の攻防を考えてみましょう。球際で相手に負けないことは、試合に勝つために欠かせない要素です。ですが、まず球際で闘うために相手との距離が詰めれているか、あるいはルーズボールに反応できる位置にいるか。


切り替えも同様です。攻撃から守備に移りやすい状態で、関わりやすい状態で奪われるか。あるいは守備から攻撃に即座に変われる状態で、関わりやすい状態で奪うか。


運動量はまさに最たる例です。走行距離を増やしたかったらゴールラインからゴールラインまで全力で往復すればいい。そうではなくて試合に勝つためには、関われる距離を常に取り続ける、1stDFのカバーやその2ndDFのカバー、あるいはその2人のカバーに入れる中間ポジションを取り続ける。そうすれば必然的に運動量は増える。オシムさんも「とにかく走ります」と交代を直訴した選手に「そんなに走りたければ銃を持ってボスニアへ行け」と言いましたし。


要は何が言いたいかというと、「球際、切り替え、運動量」はチームがうまく言っているかどうかの結果の指標であって、「球際、切り替え、運動量」はチームの状態改善する手段ではないということです。


「作り上げることより崩すことは簡単なんです。家を建てるのは難しいが、崩すのは一瞬。サッカーもそうでしょう。攻撃的ないいサッカーをしようとする。それはいい家を建てようとするのと同じ意味。作り上げることは、つまり攻めることは難しい。」


これは私が好きなオシムさんの言葉です。チームの状態を改善しようと思ったら、まず相手の状態を壊せばいい。そのためには戦術、つまり約束事が必要です。相手が何をしたら嫌がるか、それを徹底的にやる。相手のプレーを破壊する。私だったらハイプレスされたら嫌だから徹底的にやる。息をさせない。そのために1stDF、2ndDF、3rdDFの位置関係の約束を整理する。というような感じで約束事を作っていきます。戦術は試合中考える量を減らす、思考のダイエットです。そのために「認知、予測、準備」が必要です。考えるより先に体が動く。そしたら必然的に「球際、切り替え、運動量」は発揮されます。「球際、切り替え、運動量」を強化することはできないのです。あるのは「認知、予測、準備」ただそれだけです。


オシムさんの言葉でもうひとつ好きなのは「リスクを冒して攻めろ!」です。昨シーズンはCBでだいぶ攻撃参加して怒られましたが、相手がリスクを冒して果敢に攻めてきたら嫌じゃないですか?相手が嫌がるとこにガンガンフリーランかける。相手にいかにストレスをかけるかの戦いです。もちろんリスクマネージメントはしっかりしてからですよ。


最後に、先程のオシムさんの「家を建てる」の言葉には続きがあります。


「でもね、作り上げることのほうがいい人生でしょう。そう思いませんか?」


シーズンこれから、リスクを冒して攻める、そんな「壊す」サッカーを「作り上げ」られたら楽しいですね。読んでいただきありがとうございました。


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