Vol.112「言葉」2年 川島孝介
平素よりお世話になっております。 今回部員ブログを担当させていただきます、初等教育教員養成課程国語選修2年川島孝介です。 早速、本題に入らせていただきます。 「実在しない生き物が子供の心に椅子を作り、それが去った後に実在する大切な人を座らせることができる。」 これは、児童文学者であり、翻訳家の渡辺茂男さんの言葉です。 わたしは昔、お恥ずかしい話ですが、子供っぽいアニメや、話の筋の分かり切ったお涙頂戴系のドラマ、現実にはありえない展開をする物語をバカにしていた時期がありました。 みなさんにもありませんでしたか? 「こんなの現実的に考えて不可能だよ。」 とかドヤ顔で言っちゃう時期です。 「こんなうまいこと実際にはいくはずないよ」と そして、現実世界ではありえないことが起こる物語を価値の低いものだと考えていました。 「だって空想の世界でなにを言っても現実世界ではそんな都合よくいかないんだから何の意味もないでしょ?」 はたして、本当にそうだったのでしょうか。 もちろん、空想の世界のように、我々が生きている世界には伝説の生き物もいないし、都合よく奇跡なんておきません。 しかし、物語は、「あのとき、右ではなく左に曲がっていたらそこで生きることになった世界」、壁一枚向こうの「そうであったかもしれない現実」を読み手に想起させます。 作家・村上春樹さんは、これを「壁抜け」と呼びました。「起きてもよかったのだけど、たまたま起こらなかったこと」は、ただの非現実ではありません。非現実であると同時にそれがこの現実の現実性を支え、それがこの現実を変えてしまう可能性を孕みます。 これを換言したものが冒頭の言葉だとわたしは解釈しています。 物語は、我々の心の中に何か残していきます。なにか現実的にすぐに役立つ手助けをしてはくれないかもしれません。ただ、大切な人が悲しんでいる時、力になるために必要なものを、あるときは残してくれるかもしれません。 みなさんの心の中にもなにか大切にしている物語がありますか?物語じゃなくても、言葉でもいいかもしれません。きっとそういうものが人生の逆境や苦しい時期には大切になってきます。 今年、一年での関東リーグ復帰を目指す我々蹴球部にとってもそれはおなじです。 優れたアスリートは、必ず自分の言葉を持っています。 この大学に入り、今まででは考えられないようなレベルの選手と会話できる環境にきてそれは実感しています。 自分の言葉を持っている選手はAチームに多い傾向があるように感じました。 また、自分の言葉を持っていても技術レベルが足らずBチームにいる選手は、サッカー以外の部分で何か活躍できる場所を持っている人でした。 もちろん、例外もあります。 言葉を持ちましょう。あらこう。 言葉がクセで伝わりません。謙太郎くん。 言葉を生み出す漢、岩田俊太朗 こういう文章を書くと、自ずから自分の視座が高くなってしまい偉そうに見えてしまうのですが、もちろん自分もまだまだカスみたいなものだと思っております。 先ほど、「言葉」がきっと苦しい時期には大切になると言いました。 我々蹴球部は、今年度スローガンに「勇往邁進」、行動原理に“hardwork” “respect”“intelligence”をという「言葉」を掲げています。 また檜山監督も、常々「毎日、石(意思)を積んでいくんだ」と我々に檄を飛ばしています。そして、「11月23日」と明確に今年の最終目的地を「言葉」にし、そこに向かってチームに一丸となることを求めています。 一年で関東リーグに復帰するという険しい道のりを真っ直ぐ進んでいくには、こういった「言葉」という道しるべを選手・スタッフ含めて全員が見失うことなく進んでいくことが大切なのではないでしょうか。それが目的地に辿り着く一番の近道なのだと思います。 最後になりましたが、蹴球部を応援してくださる皆様におかれましては、こういった「言葉」を掲げ行動している我々に、注目していただけたらと思います。 以上で今回の部員ブログを終えたいと思います。ありがとうございました。
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